preface
ペリー来航から十五年、黒い畏怖が日の本を開いて明治を生んだ。物語は世も末1899年、文明開化は古き良き文化を解体し、日本は欧化強兵に邁進していた。ドッグイヤーで変貌する明治を尻目に、悠久の時を刻む村里があった。合掌造りに湯煙たなびく湯多村は、西洋にかぶれた隣町と対照をなし、古を偲ばせた。
ブラック✟レリジョン
大日本帝国安濃編
第一巻「湯多村の弥太郎」七章
第二巻「闇照天照」六章
第三巻「風雷双神絵巻」六章
第四巻「浮世の徒花」六章
語り手を宿した者は十一人
学者、文士、元軍人、鬼頭師、巡査、執行さん、船頭、やくざ、役者、学徒、女学生
主人公は西洋嫌いの英国帰り、ヒロインは芸者あがりの束髪くずし、安濃訛りのヒーローは涙もろい